家の玄関に佐藤建男さんの作品が3点あり、そのうちの一つです。あとの2つは酒場の絵ですので、この絵はちょっと違った試みをした作品です。昔の教員仲間の佐藤さんは退職してから塾をやっていましたが、それも終えてなんと絵を描き始めました。そして、アンデパンダン展や個展をして、作品を発表しています。自己流と語ってはばからない新鮮な色使いと自由な表現が魅力です。この作品は油絵具・アクリルにチューブのラメを使って現代的な色合いと盛り上げた表現で面白く仕上がった作品です。
伊藤八枝「雨」
家に伊藤八枝さんの作品「雨」があります。
雨模様の万座高原です。高原特有の雨雲に時として打ちつけるように降る雨。ペンションでしょうか、ひっそりと濡れています。
伊藤さんの作品は木炭・鉛筆・コンテなど白黒を主にとても詩情豊かで、心に染み渡ります。無駄な説明を省いて、見る人を白と黒の世界に誘います。老婆や少年、鳥たちや猫など、
いくつもいくつもの作品が目に焼き付いていて生活している中でふっと”ある情景”として思い出されます。
ケーテコルビッツや水谷光枝さんに影響を受け、こうした世界に飛び込んだそうで、単なる白黒でなく、紙の凹凸や掠れをも巧みに駆使した深みのある表現に到達しているように思います。
辛島菜緒
家に辛島菜緒さんの作品があります。
先日辛島さんが送ってくれました。辛島さんはアンデパンダン展の若い人の常連です。去年も一昨年もデッサン調のものやイラスト的なものや油絵などいろいろな作品を出品していました。そんなに早く自分の作風を固める必要もないのでいろんなことに挑戦していることをじっと見守っていた感じです。今年はカオスシリーズ「秋の花」の作品を7点出品しました。どれもカラーペンを使っての作品です。いろんな秋の花を見つけ見入ってイメージを広げていったそうです。カラーペンは会社のよっても違うし、同じ会社でも種類によって色にちがいがあり、その微妙な違いを使い分けて作品にしてるといっていました。この作品もカラーペンを使った直筆の作品です。本物は手触りも質感があり、輝いています。
佐藤建男 「酒場」
家に佐藤建男さんの作品「酒場」があります。
佐藤さんは最近絵を本格的に描き始めました。今年の11月に個展を開催した時の作品です。松本の縄手通りの北側にある「8オンス」という酒場の絵です。松本に泊まった時に飲みに行った所のようです。店の裏に酒屋をやっていて、そこで買った酒をこの店で飲んでいいそうです。今度機会があったら行ってみようと思います。店の佇まいと壁の色の白がきれいです。樽や看板もアクセントがあって効いています。
教育実践家として頑張ってきましたが、歳をとってきて、これから何をしていくか考え、絵を描こうと自己流で始めたといいます。ジャンセンが好きでちょっとそれらしい感じです。来年も同じところで個展をすることに決めてきたとのことですから、かなりやる気です。どんどん描いて発表したほうがいいですね。
十滝歌喜 「スペインの印象」
家に十滝歌喜さんの作品「スペインの印象」があります。
十滝さんは若い頃スペインに版画を学びに行っていたことがあり、その時の作品です。10枚印刷した一枚目の作品ですから貴重です。手前にはスペインの城壁や階段のような石積みが、道路や建物、働く人や山野の風景が広がり、巨大なオブジェもあります。入江には鯨の姿も見えます。新鮮な目で見たスペインの印象がつまっていて、見るほどにいろんな発見があります。十滝さんの版画は木版画が多いのですが、これはエッチングでしょうか。繊細な線が魅力的です。
三浦裕美
「コナラの葉」
園加代子
「ソバを打つ百瀬邦孝」
十滝歌喜
「水を飲む犬」
小林喜己子
「若者」
伊藤定夫
「海に続く道」
岡部昭
「森」
私の家の玄関に飾ってある尾関朝子さんの作品です。尾関さんの作品は繊細でフーッと崩れ去っていきそうな悲しさを湛えながらもそこに息づく芯の強さが物の存在をつなぎとめているような作品です。センスにあふれ、心地よい色と空間が何とも言えない心の内側を伝えてくれます。
私の家の玄関に飾ってある三浦裕美さんの作品です。題名は「tullys」で、コーヒーメーカーの名前です。ほっと一息を入れに行ったコーヒー店でスケッチしたものだそうですが、グラスの透明感が美しく「カラン」と氷の音が聞こえてきそうな作品です。三浦さんの作品は鉛筆の線が繊細で物の材質や質感を実によく描き出していて、素朴な中にきりっと引きしまる緊張感があります。
「道東点描」 杉山まさし
今年のアートコンフューズ展に杉山まさしさんが数点のスケッチを出していました。記念に分けてくれるというので、すかさずこれを選びました。道のわきにバラック風の建物があり、手前にダンプカーが止められていて、シートのようなものが荷台から下に広がっています。工事車両でしょうか。人はいないけれど、そこに働く労務者の生活が感じられる風景です。線が勢いよく走っていて、白黒のバランスも良く気に入っています。
「東伊豆」
鯨井 洪